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秘密部隊電光

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投稿日時
2013-02-22 18:18:24

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みなせまお

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投稿者コメント
「ふぁ~」
 俺はまた大きな欠伸をした。
 どれ位時間が経っただろう。俺やシロが3回、千葉も1回ばかしトイレに通った頃。
 漸く出番が来て千葉が花束を持って壇上へ。
 千葉が冨樫先生に花束を渡したその時だった。
 不意に、壇の左の袖に踊りこんだ、髪の短い男が懐から長い光るものを取り出したかと思うと、
「わぁぁぁぁ!」
 喚声を上げて冨樫先生に向かって突進する。薄くて長い刃物だ! しかも刃が上。
 腰に刃物を固定して、身体ごと突っ込んで来る。
 恐怖のあまり、冨樫先生にしがみつく千葉。凍り付いている。男の勢いは、もう何が有ろうと止まらないように思えた。
(ちくしょう! 千葉が巻き添えになる!)
 突っ込んで来る男が、いや、周りのもの全てが、俺にはゆっくりと動いて見えた。

 俺は不思議なほど落ち着いていた。そして身体が動いていた。
 千葉と突進して来る奴の間に飛び込み、腕巻きを仕込んだ左腕で刃物を受けつつ身体の外に払い
、同時に右手で水風船を掴んで顔面に叩きつけた。
 俺のワイシャツが切れ、金属音が響く。水風船が破裂して、猛烈な匂いと目や鼻の刺激を俺も受け、涙がポロポロ零れれた。そして俺に躓く形になった犯人は、勝手に壇上にコケ、目と鼻を抑えて逃げに掛かるが、
「逃がすか!」
 ナイス親父。間接を極めて取り押さえた。
「ありゃ、肩の関節外したな」
 しかも裸締めで落としちまってる。
「君。大丈夫か!」
 記者さんが俺を抱き起こす。ワイシャツはもう捨てるしか無い惨状だったが、下につけた腕抜きが、俺の腕を守っていた。
 二重になっていた五寸釘手裏剣の上の何本かは切れていたが、流石に下の釘を切る事が出来ず、腕には一筋の傷も無い。
「へー。これ君が作ったのか」
 アンモニアを詰めた水風船のアイディアに感心する記者さん達。
 襲われた冨樫先生の周りにも、当然記者さんが集まっているが、同じくらい俺の周りにも集まっていた。
 そして、テレビカメラも回っていた。
 シロが得意になって、俺の事を隊長とか言いやがる。おい、電光の名は出すなよ恥ずかしい。
「ふんふん。テレビのまんがをヒントにね…」
 後から振り返ると、この時記者たちのペンによって、俺は少年SPだの秘密部隊・電光だの、テレビ映画みたいな存在にされつつあった。

158恐るべき子供達-12より
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