タイトル | 秘密部隊電光 | ||||
タグ | *torazo | ||||
コメント | 「ふぁ~」 俺はまた大きな欠伸をした。 どれ位時間が経っただろう。俺やシロが3回、千葉も1回ばかしトイレに通った頃。 漸く出番が来て千葉が花束を持って壇上へ。 千葉が冨樫先生に花束を渡したその時だった。 不意に、壇の左の袖に踊りこんだ、髪の短い男が懐から長い光るものを取り出したかと思うと、 「わぁぁぁぁ!」 喚声を上げて冨樫先生に向かって突進する。薄くて長い刃物だ! しかも刃が上。 腰に刃物を固定して、身体ごと突っ込んで来る。 恐怖のあまり、冨樫先生にしがみつく千葉。凍り付いている。男の勢いは、もう何が有ろうと止まらないように思えた。 (ちくしょう! 千葉が巻き添えになる!) 突っ込んで来る男が、いや、周りのもの全てが、俺にはゆっくりと動いて見えた。 俺は不思議なほど落ち着いていた。そして身体が動いていた。 千葉と突進して来る奴の間に飛び込み、腕巻きを仕込んだ左腕で刃物を受けつつ身体の外に払い 、同時に右手で水風船を掴んで顔面に叩きつけた。 俺のワイシャツが切れ、金属音が響く。水風船が破裂して、猛烈な匂いと目や鼻の刺激を俺も受け、涙がポロポロ零れれた。そして俺に躓く形になった犯人は、勝手に壇上にコケ、目と鼻を抑えて逃げに掛かるが、 「逃がすか!」 ナイス親父。間接を極めて取り押さえた。 「ありゃ、肩の関節外したな」 しかも裸締めで落としちまってる。 「君。大丈夫か!」 記者さんが俺を抱き起こす。ワイシャツはもう捨てるしか無い惨状だったが、下につけた腕抜きが、俺の腕を守っていた。 二重になっていた五寸釘手裏剣の上の何本かは切れていたが、流石に下の釘を切る事が出来ず、腕には一筋の傷も無い。 「へー。これ君が作ったのか」 アンモニアを詰めた水風船のアイディアに感心する記者さん達。 襲われた冨樫先生の周りにも、当然記者さんが集まっているが、同じくらい俺の周りにも集まっていた。 そして、テレビカメラも回っていた。 シロが得意になって、俺の事を隊長とか言いやがる。おい、電光の名は出すなよ恥ずかしい。 「ふんふん。テレビのまんがをヒントにね…」 後から振り返ると、この時記者たちのペンによって、俺は少年SPだの秘密部隊・電光だの、テレビ映画みたいな存在にされつつあった。 158恐るべき子供達-12より |
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iコード | i68259 | 掲載日 | 2013年 03月 06日 (水) 00時 49分 18秒 | ||
ジャンル | イラスト | 形式 | JPG | 画像サイズ | 680×990 |
ファイルサイズ | 246,315 byte |
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